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20120108

ダイダラボッチについて

【カテゴリ:考察】

ダイダラボッチ(デイダラボッチ)という妖怪がいる。
スタジオジブリ作品「もののけ姫」の中にも登場した山のように大柄な人型の妖怪で、日本になじみが深い妖怪の一つだ。
このダイダラボッチが登場する民話は、日本各地に多く残されており、その発生の源流がなんなのか、ということは分かっていない。
国造りの神だったのではないか、と言われる。
実際に浅間山や榛名山、筑波山、富士山といった日本の著名な山々には、このダイダラボッチが土を運んだだの、腰をおろして盆地が出来ただのといった伝説が今も語られている。
また、「たたら法師(ぼうし)」の訛りではないか、とも言われる。
たたら、とは踏鞴製鉄のたたらであり、古代の製鉄法のことだ。
たたら法師とは、製鉄業に従事する人間のことを言ったもので、その役目は鞴(ふいご)という道具を用いて、鉄を溶かす炉の中に空気を送るという仕事であった。(個人的な想像をえがくなら、風呂釜の下で火をくべた薪に竹筒を吹くような仕事か。規模が違うだろうが)
何故、そのたたら法師がダイダラボッチという妖怪になったのかは知らぬが、たたら法師説を裏付ける根拠はある。
例えば、民話の中で語られるダイダラボッチというものは、隻眼(一つ目)であるとされている。
たたら製鉄に従事したたたら法師もまた、隻眼が多かった。
これは、その仕事の中で熱によって目を失明するものが多かったからだという。
また、ダイダラボッチが登場する場所であるが、これは禿山から顔をのぞかせるというようなパターンが多い。多くの民話において、禿山とダイダラボッチは一つのセットである。
何故、禿山なのか?
これもまた、たたら製鉄に関係していて、その昔、日本刀を作るための材料として、このたたら製鉄で作った玉鋼(たまはがね)を用いたわけだが、この時、玉鋼を精製するために炉の中で鉄を溶かす強力な火力が必要とされ、この火力を生み出すために山から木々が伐採され、一つの山がまるまる禿山になるということが珍しくなかったのだという。(ちなみに鳥取県にある鳥取砂丘は、この禿山の一つではないかという話がある。現在でもそうだが、古来、かの土地では製鉄に適した良質な砂鉄が産出され、たたら製鉄が盛んであったため、近在から多くの木材が供出された。それが鳥取砂丘の、あの砂漠化に結びついたのではないかという)
これらのことから、禿山に現れる一つ目の妖怪としてダイダラボッチ(たたら法師)が語られるようになったのではないか?という説である。
そういえば、「もののけ姫」の中でも、この「たたら」が一つのキーワードであった。
「もののけ姫」のあらすじは、たたら製鉄で破壊された自然と、それを行う人間のおごりに対して、神々(妖怪)が人間に祟りをなす、という内容であったと思う。
ダイダラボッチとはつまり、当時からあった自然破壊への警鐘を促す役割を持った妖怪だったのではないだろうか。
木々を伐採した禿山では、山そのものが吸水性をなくし、大雨が降るとよく土砂崩れを起こした。それがために地形は変わり、川はせきとめられ大小の湖沼が出来上がった。
民話の中のダイダラボッチは、山を削ったり、湖沼を作ったりといった行動をとるが、それは以上のような事柄がベースとしてあったのではないだろうか。
これは個人的な憶測である。
ところで、たたら法師はだいだらぼっちに限らず、別の形としても現代に残っている。
ひょっとこである。
よくお祭りの時に、夜店のお面屋でひょっとこの面が売っているが、このひょっとこもたたら法師がモチーフとなっている。
ひょっとこが片目をつぶって、口を捻じ曲げているのは、火を吹いているたたら法師の姿だという。
ひょっとことは、正式には「火男」と書き、「ひおとこ」が訛って「ひょっとこ」となった。
だから、ひょっとことは元々、火の神であり、たたら製鉄を神事化したものだとも言われる。
製鉄というのは、古代の日本(倭国)にとって国家事業であった。
製鉄法の伝来によって、武具にしろ、農具にしろ、それまでの木製、銅製のものを幅広く上回る能力と生産性を持った。木の鍬の先に鉄をつけるだけで、1日に捗る仕事量が倍増したのである。
鉄の生産力が、そのまま国家力だったといっていい。
ダイダラボッチにしろ、ひょっとこにしろ、だからこそ、現代まで伝わる神としてあるのだろう。
そういうことを考えると、現在も続く日本各地の祭りというものに歴史上の一貫性が生まれてきて面白い。
しかしさて、ひょっとこと聞くと、自然、おたふくが思い出される。通常、夏祭りなどでは、ひょっとことおたふくが夫婦関係になり、舞を舞う。
おたふくのモチーフは、日本神話のサルタヒコ伝説に登場するアメノウズメだと言われているが、何故、アメノウズメがひょっとこと夫婦関係になるのか。
そんな「祭りとお面」というテーマについて、そして「製鉄の伝来と日本神話」について、また「妖怪」というテーマについて、機会があったら書きたい。


山河


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