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20100329

阿呆の逸話

【カテゴリ:阿呆】

僕の高校時代の友人にKくんと言う人がいるのだけど、最近そのKくんのことを人に話していて、改めて彼が魅力的な人物であったことを再認識したので、今日はちょっとそのK君のことを書いてみたい。
僕は自分の高校時代のことを思い出すと、ついつい思い出し笑いをしてしまうくらい、その生活が刺激に溢れたものだったのだけど、よく思い出すことに「熊のこと」がある。これは、その高校が北海道の日高山脈てな自然あふれる原始的な場所にあったことに由来しているのだけど、高校の敷地内によく熊が現れたのだ。ヒグマという種類の熊で、日本では最も凶暴な種類の熊だ。ある日、担任の先生が帰りのホームルームの時間に「今日の朝、そこの橋を熊が渡っていたそうです。その橋を渡って帰る人は気をつけて帰ってください」なんて言い出したことがあった。「気をつけようがないじゃないですか」という意見が生徒から飛び出る。蓋し、当然な意見だ。しかし、熊はその後いなくなってしまったそうだし、その橋を渡らないと帰れない人は、結局橋を渡って帰るしかない。都会にいると信じられないようなことだが、僕の高校ではそんなことが度々あり、授業中に熊が出たとあれば授業を切り上げ、散弾銃を抱えて学校を飛び出していく教師が数人いた。僕らの安全のため、というよりは、猟銃の免許を取得して狩りを趣味としている先生方だ。その教師が自分のジープの荷台に、撃ち取った熊をごろんと乗せて、まるでヒーローの凱旋のように校舎の前を走っていく姿を僕は何度か目撃した。学校が終わって、部活に行けば、顧問の先生が鍋を煮ている。撃ち取った熊をそばから解体して、その肉を鍋に放り込み煮ているのである。「今日は早くに切り上げて、熊鍋食うぞ」と、僕も熊を食わされたことがあったが、熊肉は固くて生臭く、飲みこむのに時間がかかった。同じ調子で、鹿肉の刺身も食べたことがあるが、鹿肉は大変おいしかったのを覚えている。
で、Kくんなのだけど、彼の住む家というのも、またさらに山奥であったらしく、ある日彼が話してくれたことに、こんな話があった。学校帰り、駅から自転車に乗って峠道を走っていると、自分の走っている車道の右手で何やらドドドドドという音がする。右手は急な山肌なのだが、身長ほどに一段高くなったところでまた平地となっている。彼は何気なく音のする方を見上げてみてびっくりしたそうだ。なんと、そこには熊が走っていたのだという。どこから一緒に走っていたのか、気づいたら自転車で熊と並走していたのだそうだ。「慌ててUターンして、全速力でこいで逃げたよ」とKくんは話していた。
熊だけでも、おそらく多くの話があるのだろうが、彼にはそれ以外も数々のエピソードがある。例えば、走っている汽車から飛び降りた、という話だ。ある日、Kくんがいつものように汽車に乗って家へ帰る途中、車掌が切符拝見で反対側の車両からやってくるのが見えた。いつもはそんな見回りなどしないらしいのだが、何せ無人駅の多い土地である。時々、定期の期限を車掌が確認して回るのだろう。実はその時、Kくんの定期はズバリ期限切れで、彼も焦ったそうだ。これが見つかると停学になりかねない、と思ったKくんは走る汽車の窓を開けて、そこからまず自分の荷物を放り投げると、一緒に乗っていた友人たちに「じゃ」と言って、自身も窓から飛び出したそうだ。さすがに翌日、足を痛めていた覚えがあるが、それを目撃していた友人曰く、Kくんにはそんなことが何度もあったらしい。他にも、自分で山の落葉を乾燥させて煙草を作ったとか、腹が減ったので木に登ってカラスの卵をとり目玉焼きにした、とか様々な話があるのだが、そんなKくんとも高校卒業で僕はお別れした。
その後、彼はかねてから強く志望していた自衛隊に入隊したのだが、山育ちの彼はもともとその資質があったのだろう。陸上自衛官となった彼は、入隊後間もなくめきめきと頭角を現し、通常ではあり得ないという出世を重ね、数年で落下傘部隊に異動となり、レンジャー部隊、精鋭だけが集まるエリート部隊へと昇り詰めていったそうだ。
最近は音沙汰もないので、その後Kくんがどうなったかは知らないが、あの高校が刺激的であったのと同様、Kくんほど刺激的な人物とも今後そうそう出会うことはないだろうな、なんて考えている。


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